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私達はアルプスを走っているはずだったが、前方には何も見えなかった。世界一大きな山脈が見えてもいいんじゃないか?!この道は緩やかに登っていて、知らないうちにアルプスの真ん中に出るんだ、とジムが説明してくれた。1時間後には、みなで“The hills are alive with the sound of music…”と、サウンドオブミュージックのテーマソングを歌っていたことは言うまでもない。
雪をかぶった峰は見えなかったが、山脈の雄大さと開放的な湖に映る山々はすばらしく、息を呑んだ。
この旅行で見事だったもう一つのことは、人の手によるものだった。スイスには世界で3番目に長いトンネルがある。たった17kmの地下にだ。セント・ゴットハルド・トンネル(St. Gotthard)と呼ばれるが、通り抜けるのに20分はかかるので、入る前に自分が閉所恐怖症じゃないかよく考えた方が良い。
おなじみの“トンネルの先の明かり”が見えてきて、私達は次の休憩所で休もうと決めた。セント・ゴットハルド・トンネルはちょうどスイスのドイツ側とイタリア側とをわけている。実際、反対側ではサン・ゴッタルド(San Gottardo)と呼ばれている。禎夫は休憩所の雰囲気が既に変わっていることに気づいた。人々がイタリア語を話していたこともひとつだが、人がもっと愛にあふれ、出来合いのサンドイッチのサラミも新鮮に見えた。
イタリアに入る国境を越え、間もなくレッコに到着した。コモ湖をとりまくたくさんの町のうちのひとつだ。その晩は、ホテルでおいしい食事をしベッドに入った。
川崎洋介
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