中川賢一(3)
2007-07-03


私は、ベルギーはアントワープというところで勉強していた時期があります。なぜそこに行ったかというと、もちろん素晴らしい先生にめぐり合えた事と、様々な方のご協力があったからこそ・・・と思っておりますが、もっと直接的な理由は食事と風土でした。

旅行ではないので、食事は毎日のことなので口に合わないと過ごすのがつらいと思っていたからです。また気候も、一度住んだらそこから抜け出すことはできないので重要でした。食事については私個人の独断では、ベルギーはヨーロッパの中で最高ではないかと思っております。ここで曲解されないためにも一言付けくわえさせていただきますが、「ベルギー料理」が「ヨーロッパの中で最高」と言っているわけではありません。もちろんムール貝や、ワッフル、チョコなど素晴らしい料理がありますが、それも素晴らしいとして、世界各国の料理が比較的高くない値段で食べることができるのです。

「高くてうまいのは当たり前」と私自身は思っておりますが、まずベルギー料理、フレンチ、イタリアンはもとより、ロシア、ギリシャ、トルコ、モロッコ、韓国、中華(広東、北京、四川、香港)、日本(寿司、定食、焼き鳥)、ベトナム、インドネシア、マレーシア、インド、クロアチアほか沢山の国の料理が私の家から歩いて30分以内のところにありました。かなりの店がかなりのクオリティで毎日飽きることがありませんでした。ベルギービールも見逃せません。400とも600ともいわれている種類のビールはほとんど地ビールで、ラガー系から、黒ビール系、果物のフレーバーによるフルーツ系など全く飽きません。ベルギー人はお金が無くとも週に一回は家族で外食をするとも聞いております。貯蓄はあまりないのですが、それでももらったお金は、まず食事に使うのが大好きなようで、皆さんおいしいものを食べるのが大好きなようでした。その人生を謳歌する態度に感動を受け、住んで学ぶことを決意したといっても過言ではありません。

この国は小さいため、税金が非常に高いのですが、その代わり相当の年金が入るために、退職を楽しみにしていて、老後は悠々自適です。いいレストランでお昼を食べているお年寄りも多いですね。失業保険もかなり充実し、医療も心臓バイパスの技術は世界屈指で、頻繁に手術が行われております。

次に気候ですが、ベルギーは基本的に「曇り」か「霧雨」しかありません。本当の快晴はほんの数時間のことが多く、雨も集中豪雨になることは本当にまれです。しかしながらいつも折り畳み傘は無いといけない・・・冬は朝9時半くらいにならないと明るくならず、15時には暗くなってくる(夏は逆ですが・・・)というところも、冬の鬱蒼としたものに対して嫌悪感をそれほど持っていない自分にとってはなかなかいごこちがよいものでした。なぜかそういった暗い空間では家にこもってじっくり音楽のことを考えて練習できるので、留学して自分の演奏を向上させてこようという者にとってはよい環境だったといえると思います。ストレスがたまったらおいしいものを飲んで、食べたらすぐにどこかに飛んで言ってしまう。そんな生活でした。

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